事業の概要
当社団法人では、後継ぎのいない優良な同族中小企業(ファミリー企業)のオーナーファミリーに、支配株主としての権益を将来に亘って維持するための「手放さない分岐承継(※1)」を推奨しています。そして、分岐承継を実効化するために、ファミリーホールディングス(※2)(ファミリーの持株会社)の設立支援・経営支援、自社株式議決権行使の助言などを行っています。
※1 ※2 商標登録済み(2021年)
当社は、会社支配権、財産権の基となる株主権を、どのように守っていくかについての支援・助言を専門とする、我が国では唯一の民間事業法人です。
未上場の優良なファミリー企業において、オーナー社長に子供など後継ぎとなるべき人がいない場合、大きく分けると、
①M&Aなど親族外承継をするか、
②経営だけを子飼い社員などに託して所有と経営の分離をするか、
の選択を迫られます。
このような場合、政府は2019年から①の親族外承継を推進していますが、当社は②の所有と経営の分離を選択しょうとするファミリー企業の支援を行っています。
「所有と経営の分離」には二つの形態があります。
(a)一つは、従来の会社組織のままで、株式支配権のみを同族子女が相続し経営は子飼い役員などに託するこれまで多くなされてきた方法です。
(b)もう一つは、従来の会社を会社分割などによってファミリーホールディングス(持株会社)と事業会社(子会社)に組織再編し、事業会社経営のみを子飼いの役員などに託する比較的新しい方法です。これを当社では「手放さない分岐承継」と名付けています。
当社は、2010年の創業から前記(a)形態の枠組みの中での支援をしてきましたが、2020年からは(b)「手放さない分岐承継」の支援を重点的に行っています。
1、ファミリーホールディングス(FHD)経営支援事業
当社では、ファミリー企業(オーナー企業)のオーナーが所有と経営の分離目的で設定する持株会社をファミリーホールディングス(FHD)と名付けていますが、当事業はそのFHDの経営を独立アドバイザーとして支援する事業です。
当事業は、後継ぎが身内にいないファミリー企業のオーナーが「手放さない分岐承継」のフレームで行こうとお考えになった場合、どのような方法でFHDを設定するのが税法上などで最も実利的か、FHDの経営が将来に亘って安心か、顧客などとの関係で問題ないかなどを一緒になって考え実行するところからスタートします。
FHDの設定が終わって「手放さない分岐承継」の枠組みができた後は、FHDの経営の枠組み、子会社(事業会社)の経営管理のあり方などを整備し、子会社の財務情報の分析など経営情報をFHD経営トップ(オーナー引退後はオーナーの子女など)に提供し必要なアドバイスを行います。
自社株税務対策、同族の相続問題など特別な問題については、当社のビジネスパートナーである専門家と一緒に課題解決にあたります。
手放さない分岐承継のイメージ
2、自社株式議決権行使助言事業
これはファミリーホールディングス(FHD)の設定をせずに、従来型の所有と経営の分離を選択なされたオーナーファミリー(子女などのご遺族)向けのサービスです。
オーナーの急な死亡などで、事業経営(社長職)を生え抜き幹部などに託さざるを得ない場合、オーナーファミリーは後継社長の選任から始めねばなりません。しかし、オーナー子女は取締役会のメンバーにもなっていないことも多く、また会社情報の不足などでオーナー家の主体性を発揮できないまま「お任せ、なりゆき」にというのが多くの実情です。
その後の株主総会に関しても、後継社長から提案されてくる重要案件(役員人事案件、第三者割当増資案件など)の意味あいなどについて会社経営に不慣れなオーナー子女などが正確に理解し対処することはまず不可能です。お人好しにすべて容認してしまう(会社を盗られる)か、猜疑心を持ってすべて否定してしまう(会社が止まる)かになりがちです。
当事業は、元のオーナーが引退した後のオーナーファミリーに対して、株主総会に後継社長サイドから提案されてくる議案について、それらが実際に意味するところを推測・解説し、同議案に対してどのように議決権を行使するべきか、進める対処方法は何かを当社が助言するという内容の委任受託業務です。
オーナーが経営トップに在職している間から契約を結び、将来に備えていただくのが原則です。
3、株式保有事業
この事業は、ファミリー企業の一部株式を長期的に保有する業務です。
ファミリー企業の支配株主は、会社法上の制約もしくは支配権の維持と支配株式に対する税務上の負担との相克に悩まされるのが常です。
当社は、事業承継上必要かつ有効と認められる場合、最小限度において当該企業の株式を長期前提で保有します。